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2016年11月 9日 (水)

遠野物語 :奇ッ怪 其の三

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世田谷パブリックシアターと劇作家・演出家前川知大のコラボレーションシリーズ、奇ッ怪シリーズ第三弾 「遠野物語」ー民俗学者柳田國男の著書、東北地方の伝承を記録した「遠野物語」をベースに前川が書き下ろした新作(ちょこっと雑学:柳田さんは世界共通言語エスペラント語を推奨していて、エスペラント学会の理事も務めたそうだ。昔、高田馬場の雑居ビルの一部屋にエスペラント語教室の名前があり、満員電車の中からその看板を見ながら、どんな人が通うのかな〜と興味を持ったことを思い出した)を観た。

前川芝居の多くにあるように、架空の設定である(未来?)日本で「奇ッ怪」な出来ごとに巻き込まれた主人公と一緒にそのおかしな出来ごとの謎を解明していく形でストーリーが進んで行く。

冒頭、「標準化政策」の布かれた東京で、主人公ヤナギダ(仲村トオル)が当局の意に反した出版物を配布した咎で警察署に呼び出され、尋問を受けている。彼の出版物が迷信を記したものなのかどうか、判断するために見識者としてイノウエ(山内圭哉)も同席している。内容は全て自分が見聞きしたもので、事実だと主張するヤナギダ。いつしか彼らはヤナギダの書物、民間伝承の世界へと入り込んでいく。

原作:柳田國男柳田國男とあるように「遠野物語」の多くをベースとして、その中にある伝承話を使用しているのだが、その材料を使い見事に今日の、それも極めて社会的な劇にしているところが作家、前川の真骨頂。明らかにフィクション(この劇の大枠自体がフィクションであるのかどうかの議論となっている)である演劇の世界にどこまでリアルを持ち込めるか、がヴィヴィッドな劇作家でありえるかどうかを分ける重要なポイントだとすると、前川の劇作には誰よりもそれがある。2016年に上演されるべき芝居としての見所、問題提起がてんこ盛りなのだ。

今回はその戯曲以外の点、美術ー舞台前面に配置された小さな四角い土間、その周りは結界を守るかのように鉄の梁で囲まれている。背景の大きな横看板、そこには力強い文字のような水墨画のような抽象的な絵図が描かれている。それが時には東北の山々に、時に山から下りてくる冷たい風のように、人々の鬱積した感情のように、場面ごとに表情を変化させる、役者のアンサンブル ーそれぞれが良かったし、バランスも良かった。中でも、主要キャスト東北の伝承者を演じた瀬戸康史、仲村トオル仲村トオル、山内圭哉の存在が光った、そして彼らの力を最大限に活かした演出も素晴らしかった。

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