« LOFT(2/8) | トップページ | Zero Cost House(2/12) »

2013年2月10日 (日)

漂着種子(2/9)

Stage32099_1

先週に引き続き、小劇場好きの友人が誘ってくれて、猫の会の「漂着種子」を下北沢の楽園へ観に行く。
劇団HPによると、猫の会は07年から活動を開始している劇作家北村耕治氏の戯曲を上演する劇団だそう。
この北村氏、猫の会の戯曲執筆、企画、制作の他に、一般市民向けの演劇・朗読のワークショップを数多く手がけているらしい。
******劇団HP より****
といっても、そこも立派な東京都なのですが。

東京から、南へ300km―

はじめてその地を訪れたのは、2010年の夏でした。明日葉が練りこまれた緑色のうどんをたぐって、丸揚げされたトビウオを頭からかじりました。古民家にあった太鼓を恐る恐るたたいて、八丈富士の中腹から荒れる海原を見降ろしました。流人の島として恐れられた絶海の孤島のイメージははるか遠く、その独特な風土と文化に心地よく酔いました。

漂着種子はそんな八丈島と、その隣にひっそりと佇む八丈小島に材をとった連作です。ある建物の一室を舞台に、ある母娘の物語をそれぞれの視点から描きます。

1984は、今よりほんの30年の昔。当時は島と羽田の間を一日6便の飛行機が飛び交い、年間17万人の観光客が訪れました。三宅島が噴火して、テレビでは「ふぞろいの林檎たち」や「スチュワーデス物語」が流行っていた頃。近くて遠い故郷と遠くて近い東京の狭間で、母は何を思ったでしょうか。

2013は言うまでもなく、いま私たちがいるこの現代。観光地としてのブームはとうに去り、飛行機は一日3便に、観光客は年間10万人にまで減りました。現在、八丈方言はユネスコから消滅危機言語として指定されています。がちゃがちゃとした都会の暮らしに倦み疲れた娘は、この地に何を見出すでしょう。

ひとつ、小劇場楽園の扉をどこでもドアだと思ってみてはいかがでしょう。どんな旅行代理店よりもお求めやすく、八丈島のパックツアーをご提供します。

時は30年、距離にして300kmの旅。

楽園でひそやかに紡がれる物語をご覧にいれましょう。

************

私たちが観た日は1984年バージョンの上演。

東京都に属しながら、東京を「国」と呼び、国へ出ることは島と縁を切るほどの覚悟がいる時代の話。標準語とはかなり違った言葉で成りたつ八丈島の方言で語られる、それぞれ違った距離で島と関わることを選んだ三姉妹ー一人は国へ移り住み、一人は島で生活していく道を選び、そして一人はまさに今その選択を迫られているーそして近隣の島民、さらには国からの新参者と島民との新しい関係。

1969年、島民の自発的な請願により「日本初の全島民完全移住」が実行され、無人島となった八丈小島ー八丈島本島への移住理由としては、止まらぬ過疎化・生活条件の過酷さ・子どもの将来の教育上の不安などがあったらしいーから本島へ移り住んで15年を迎えた姉妹が今度はさらなる利便と情報、チャンスを求めての移動を視野に行動を起こす。

その後の地球規模の環境破壊、資本主義経済の行きづまりの兆候などを知っている客席の観客達は、そこに個人的な姉妹の人生プランだけでなく、人類規模での将来設計を思い描くこととなる。

近年、福島での原発事故の影響もあり、本当に豊かな暮らしに関して考え直す人々も多く出てきている昨今、、、劇の終演後の姉妹の暮らしがどうなっていくのか。。その一つの答えが2013年度バージョンで示されるのだろう。

|

« LOFT(2/8) | トップページ | Zero Cost House(2/12) »

「観劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/223541/49308542

この記事へのトラックバック一覧です: 漂着種子(2/9):

« LOFT(2/8) | トップページ | Zero Cost House(2/12) »