« 11人いる!(1/10) | トップページ | 祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹(蜷川版)(1/15) »

2013年1月12日 (土)

東京ノート(1/11)

Stage32185_1

多田淳之介率いる東京デスロックの東京公演再会舞台「東京ノート」ー平田オリザ作・多田淳之介演出ーを駒場アゴラ劇場で観る。

***劇団HPより****

東京公演休止から4年。
《地域密着、拠点日本》を掲げ、
東京デスロック、再び、地域「東京」へ。

東京公演を休止している4年間、単なる中央に対する地方公演ではなく、地域で活動する劇場、アーティストと共に活動できたことが何よりの財産になりました。4年ぶりの東京公演ですが、気張らずこれまでの地域での活動のように、現在の東京を見つめたいと思います。平田オリザ氏の代表作「東京ノート」には、戦争という大きな衝突と、家族という小さな集団の葛藤が描かれています。現在の東京で、わたしたちの抱えている葛藤は、戯曲に描かれた世界のなかでどのように揺れ動くのでしょう。

2012年11月 東京デスロック主宰 多田淳之介

【東京ノート TOKYO NOTES】
1994年の初演以来、世界16カ国で上演されている平田オリザ氏の代表作。
舞台は近未来の美術館のロビー。ヨーロッパで大きな戦争が起こり、そこから避難してきた絵画を前に、日本人の家族や恋人たちが断片的な会話を繰り返す。戦争という大きな背景を前に、日々の生活を送る日本人の姿が克明に描写され、現代社会の様々な問題点と危機があぶり出される。

**************

HELLO TOKYO!という呼びかけとともに始まる舞台。なぜHelloなのか、でもって「お久しぶり! Long time no see」なのかといういきさつは上記の主宰者からのメッセージをお読みいただくとして、久しぶりにふじみ市からアゴラ劇場へ戻ってきた東京デスロックの舞台がいかに刺激的で真の意味でのコンテンポラリーであったか、ということを、このところの停滞ムード蔓延する演劇界(得にコンテンポラリー演劇界)におけるとても嬉しいニュースとしてお知らせしたい。

ネタバレになってしまうとそのワクワク感、それぞれの観客の大いなる想像力の邪魔となっても申し訳ないので、劇の詳しい演出方法などを記すのはひかえるとして。。。そこらへんのところは、まずもって「今生きている時間の中で、同時代の「東京ノート」を確認してみる」経験として自らの目で、身体で体感してもらうしかない、としか言えない。ー騙されたと思って、アゴラを訪れてみて。。。でもって、もしかして、あなたにとっては騙されちゃった!と思われたとしても勘弁して。。。それでも、絶対に日本で今起こっているヴィヴィッドな演劇の試みを目撃するだけでも、損はしないと思うので。

まずは「東京ノート」という平田オリザの演劇史に燦然と輝く名作が大前提という舞台であることは自明の理ではあるのだがーこの戯曲金太郎あめのように、どこを切り取ってもかならず「金太郎」が見える仕組みになっていて、でもって誰がどの視点から向き合ってもどこかに強い接点が見つけられるように書かれている。。さらにはそれを続けて観続けたときに、その外側にまた大きな物語が見えてくるように構成されている、といった優れものー、何と言っても多田さんのすごいところは2013年の「今」観るべき芝居として、きちんと演出を施しているというところ。

東京デスロックのアヴァンギャルドな特徴とも言えるかなりフリーな演出もそこここに見受けられるのだが、現代演劇の演出とは何ぞやといったところの肝心な芯はきちんとおさえている。

つまり、良い意味でフリーにした方が良いと思われる部分に関しては、全面的に観客を信用してUp to You (これは上演中にメッセージとしてスクリーンに映し出される)ーどうぞご自由に、と完全に客の感覚、自主性に任せ、でもって要のところでは「翻を読み込んで、目の前の観客に適したコンテクストとして戯曲を提供する」という作家をリスペクトした正攻法の演出で東京ノートを見事に上演しているのだ。

この不要な観劇の際のテンションを取り除いて上げることにより、よりテキストに集中出来て、さらに脳内も活発化し、窮屈な劇場で行き詰まる中観劇するよりもはるかに自由で大きな創造力でもって劇と向き合う事が出来るようになる。

「東京ノート」が表す悲哀、人の愚かさ、そして少しばかりの人類に対する希望etc.etc..に関してはそれぞれの観劇者にそれこそ自由に感じ、考えてもらうこととして、、、今、なぜこのご時世に演劇を観るのか?わざわざ、劇場へと足を運ぶのか、、、そのようなことを真摯に考え、果敢にその意義の可能性に挑戦していく、東京デスロック、、そして多田淳之介氏のゆるやかな、そしてゆるぎないチャレンジ精神。。。それこそ、これだったらもう少しこの世界(日本演劇界)ともつきあっていこうかなと思わせてくれる、そんな気にさせてくれる舞台だった。

|

« 11人いる!(1/10) | トップページ | 祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹(蜷川版)(1/15) »

「観劇」カテゴリの記事

コメント

東京デスロックはこれまで観たことがありませんでしたが、nobbyさんの記事を読んでトライしてみることにしました。

投稿: johnny | 2013年1月13日 (日) 17時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/223541/48714129

この記事へのトラックバック一覧です: 東京ノート(1/11):

« 11人いる!(1/10) | トップページ | 祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹(蜷川版)(1/15) »