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2012年11月24日 (土)

ステップメモリーズー抑圧されたものの帰還(11/23)マチネ

Stage30425_1

↑カンパニー創設者、ユン・ソンハル氏からのコメントが記事中にあります。
にしすがも創造舍で上演中のF/T12メインプログラムの一つ韓国グリーンピグカンパニーの「ステップメモリーズ」を観る。
***F/T12 HPより****
韓国現代演劇を牽引する演出家、ユン・ハンソル率いるグリーンピグ。自らの活動を「現代文明をめぐる思考と抵抗の場」と捉える彼らは、映像をはじめとする他ジャンルとの共同作業を通し、常に新たな芸術形式を模索してきた。
朝鮮戦争を題材にした『ステップメモリーズ』は、2010年にソウルのトータル美術館で上演されたパフォーマンス。観客は、体験者の証言の再現や思想書等の引用、歴史的資料、映像や音楽をコラージュして作られた場面(空間)を巡り、体験する。それは、この戦争に関するさまざまな記憶に、国家や民族といった大文字の歴史とは別の「証言」の場を与え、現在進行形の「対話」へと誘う装置でもある。
今公演では、日本人キャストが新たに参加、会場に固有の歴史も踏まえた東京版の創造を目指すという。未曾有の体験、その記憶をいかに語り、伝えることができるのか。異国の地での実験は、その問いに新たな示唆を与えるだろう。
**********
***ネタばれ注意***
今回、日本バージョンとして演目前半部分のにしすがも創造舍のもと学校の校内を歩いて回るツアーの部分、そして後半体育館へ移ってから見る映像部分(韓国から展示物!?ーメモリーを再現する役者なんですがーがコンテナーで送られてくる様子を撮っている)に工夫あり。にしすがも創造舍の戦中、戦後史、そして韓国から日本へこの作品を持ってきた経路を紹介するというエピソードを組み込むことにより、この劇が隣の国で起きた戦争のはなし(だけ)ではないことを伝えている。
オーディションで選ばれたという埼玉ゴールドシアターの女優さんたちの演技も記憶に残る(蜷川氏はゴールドシアターですばらしい才能を発掘してくれたよね)のだが、2時間のプログラムで圧巻の部分はやはり体育館に移ってからの映像とパフォーマンスによる抑圧され、沈黙させられたものたちの記憶の発掘、解読、分析作業。
ウォーキングツアーの前のプログラム冒頭、「サロメ」ーワイルドのサロメではなく、新約聖書にあるヘロディアの娘の話に沿っているーにみる加害者=罪を犯したものと、それにより裁きを受けるべきもの(たち)のフリに対してここで答えとも思える案を挙げてみたり、視覚的に戦争による死の連鎖を暗示してみたり、言葉で、役者によるパフォーマンスで、そして映像ー録画のものと、ライブの映像を併用とありとあらゆる方法で、われわれが無自覚に見過ごしている誰かによって意図的に捏造された世の中の仕組みについて、そして忘却の彼方へ追いやられている真の戦争被害について覚醒を促してくれる。
コラージュのように見えるプログラム構成が実のところ、かなり巧みに仕組まれたものであることが分る。一見バラバラのように見えるがきちんと一本の太い糸で繋がっているのだ。
先日の中国のプログラム「狂人日記」と言い、この「ステップメモリーズ」と言い、近隣アジアの演劇は強い!目標がはっきりしているので迷いがない。
***
ところで、マチネ回の後、ポストパフォーマンストークがあり、F/T実行委員長の市村氏と今作構成・演出のユン氏が登壇したのだが、その中でちょっと気になることが語られていたので記しておく。
(残念ながら次の観劇予定のため、15分ぐらいで退場してしまったので話の結末までは知らないのだが)
と言うのも、どうも今回の上演直前にちょっとしたトラブルが発生したらしく、100%満足のいく上演と言うわけではなかったようなのだ。
いきさつとしては、当然のことながらある程度前から今回の上演は決まっていたのだが、どういうわけか来日4日前になってF/Tの事務局からプログラム内容の変更指示がきたという。その内容というのが、オリジナルでは土に生きたまま埋められて虐殺される人々の役は全裸にさせられて(もののように)殺されるという設定で役者は当然のことながら全裸でというシーンだったらしいのだが、全裸は困るのでその部分を変更するように、というお達しが届いたという。
演出家としては既に内容的に納得をした上で招待されたと思っていたというのと、やはり直前での、ハイライトとなるシーンの変更は躊躇するーそこまでして上演する意味に合点がいかないということだったらしい。
もやもやした気持ちで気がついたら東京に着いていたということで、そう言われればなんだか釈然としない面持ちだった。
それを聞いたこちらとしても、もやもやしてしまうこの話。なんだかステップメモリーズじゃないけれど、隠されたものを疑ってみたくなってしまう話ではないですか?
と言うのも、一方では同じフェスティバルの同じカテゴリーの演目として東京芸術劇場でポツドールの「夢の城」が上演されていて、多くの人が目撃しているように舞台にはフル○ンの輩がわんさか、でもって疑似セックスまで演じているんですけど。。こちらは問題なし、でどうしてこちらはダメなのかしら?(別にポツドールが云々ではないのはもちろん分ってもらえますよね)
それこそ、これまでのわいせつ/芸術論争の一端のように、われわれ一般人には理解しがたい、わいせつ提議みたいなものが関係してくるのでしょうか?(たとえば少しでも、例えばサングラスとか帽子とか、、を身につけていれば全裸とは言わないとか?????知らないけど)
おそらくはちょっとしたコミニュケーションの欠落?ちょっとした気のゆるみからの確認もれ、、とかいったことが原因なのかもしれないけど、(今日の芝居の)あの場面で全裸になったところで、何ら問題はなかったように思えるのですが。。それこそ市村氏が語っていた芸術における性の表現の規制云々にもかからないほど、性的表現でもなんでもなかったように思うのですが。むしろ服を着せる(なぜかグアンタナモのようなオレンジ色の囚人服を着ていた)方がハレンチ???って、これ何十年前のわいせつ/アート裁判だよね。
それも上演4日前にわざわざ、、、って、ほーら、なんだか変に疑っちゃうでしょ?(たんなる考え過ぎなのかな)
ぐちゃぐちゃの政党合併同様、世の中変なことがまかり通っているよね。

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コメント

夜公演で観たので昼のトークの内容興味深かったです。問題になったというのがどのシーンのことなのか気になっていたので、屋外だったからなのかなとか思いました。

投稿: 手塚 | 2012年11月24日 (土) 09時09分

コメントどうもありがとうございます。

そのシーンはラスト近く、一人の女性が外へ連れ出されて生き埋めにされたあと(その模様を観客はビデオで見る)、会場に戻ってきて泣いている女性に会うところです。
ーおそらくこのシーンの他でも殺される被害者側が出てくるシーンでは全裸であったと予想されますー

投稿: Nobby | 2012年11月24日 (土) 09時45分

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