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2012年10月10日 (水)

ヒッキーソトニデテミタ〜ノ(10/9)

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パルコ劇場で岩井秀人の自伝的作品にして代表作「ヒッキー・カンクーントルネード」のその後を描いた「ヒッキーソトニデテミタ〜ノ」を観る。
意識的に、近年の笑いが多い作風を極力おさえたものに変えてみたという今作。主人公の思い出パートで珠玉の名作「ヒッキー・カンクーントルネード」もダイジェストバージョンで観劇出来ると言った初めてのヒッキー観劇者にも優しいパルコバージョン。
終演後の出演者とのトーク(自ら「パルコ劇場ではアフタートークは珍しいそうですが、。。。」とつっこんでいたが、岩井氏が信じる、演劇の効率的な楽しみ方に関わるサービスはパルコに進出しても健在。幕開けにもヒッキーに「普通はダメですが飲むのぐらいだったら大丈夫。。。食べるのもちょっとだったら。。」と肩の力を抜いてとにかく芝居を堪能して!とメッセージを送っていた。自らの演劇方針はブレさせることなく異種劇場にきちんと対応していた)で吉祥寺でのヒッキー初演は50人キャパぐらいの劇場でこじんまりと行っていたのが、パルコとは!!とヒッキー全国国民観賞計画の途上成果を語っていたが、演出家本人がそこが全て、と言う今回の公演の演出のポイントはいかにパルコの中劇場を使いこなすかという点。
****ネタバレ注意****
ハイバイ専売特許のどこでもドア(ドアノブが先端についた針金状の舞台セット。大きな、そして視界を遮るドアやそれに続く壁を配さなくてもこのどこでもドアで部屋の中と外の世界を表現出来るすぐれもの)に加えて今回登場したのが場所をとらない回転部屋移動セット。
基本的に舞台真ん中に設置されているまるい演技スペースで全ての演技が行われる(役者はそこの演技部分から外れたら、そのすぐ横にある控えスペースで次の出番に備えている)のだが、限られたスペース、その意味では小劇場の全体のスペースよりも限られた空間での演技なもので、場所やシーンの転換(途中暗転での転換もあったが)を示唆するサインとして丸舞台に設置された骨組みだけの仕切りが回転して違った地形を創り出し、瞬時に部屋や場所の転換を行っていた。
ー演劇における観客の創造力を信じ、それを最大限に活かす岩井演出の妙ー
あと、この空間が大きくなったという違いに対処する方法として、、ーアフタートークで話に出ていたのだがー常々、演出家は役者陣に「もっと大きな声で!それでは届かないのでもっと、もっと」とダメだしをしていたらしいのだが、、実際、初日舞台では役者が叫びすぎてうるさかったらしく。。。初日後すぐに演出家直々の謝罪が入り声のトーンをおとしてもらったらしい。
劇の内容については、。。前作で外界へ一歩を踏み出したヒッキー(吹越満)が今度は出張お姉さん(チャン・リーメイ)の助手として現ひきこもりの人たちのカウンセリング、引きこもり解消の任務につくというもの。そのなんとも頼り無さげな様相から現ひきこもりたちーひきこもり歴20年選手和夫(古館寛治)やITオタクで優秀な20歳の太郎(田村健太郎)ーに逆にバカにされながら、それでも真っ向からそれぞれのクライアント(?!)に向き合うヒッキー。
お姉さんの厳しさとヒッキーの親しみ易さが功を奏し、一見、順調な回復を遂げたかに見えた二人のひきこもりだったが、ラストに思わぬ悲劇が待っていた。というもの。
まあ、、、こればかりは実際に観てもらうしかないでしょう。
というのも、筋書きでは表れてこない、無言の、それこそ観客それぞれが想像して受け取る、文字では書かれていないストーリーがすごすぎて、それぞれに受け取って感じて、考えてもらうしかないのでは、ということ。
社会の表舞台にはあまり出てこないひきこもりたちの世界を通して、それこそ世界や人間のあらゆる矛盾、繊細な心の優しさと脆さなんかが見事に描かれているわけです。岩井戯曲の真骨頂。
劇の冒頭で「ひきこもりというのはコミュニュケーション能力の高い人ほどなるもの。普通の(鈍感な)人たちと比べてあまりにも察してしまうので、対処出来なくなってしまう結果おきるもの」という話が出ていたが、そういうことなんだろうな。ちょっとしたバランス、ちょっとした過度な心の傾きが原因で画一化した現代社会では除外されてしまうのだろう。

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