« リチャード三世(10/3) | トップページ | ファンファーレ(10/4) »

2012年10月 4日 (木)

遭難、(10/4)マチネ

Stage28192_1

東京芸術劇場シアターイーストで本谷有希子の代表作「遭難、」を観る。
****演劇サイトより***
2006年に上演され、第10回鶴屋南北戯曲賞を受賞した、
本谷有希子の代表作とも言うべき作品、『遭難、』の再演がついに決定いたしました!
再演を熱望されていた本谷流シリアスコメディが、
映画『冷たい熱帯魚』でその存在感を不動のものにした黒沢あすかを主演に迎え、
全く新しいキャストで蘇ります。

<あらすじ>
放課後の職員室に乗り込んできたのは自殺未遂の生徒の母親。学校の責任だと決めつける母親、泣き出す担任……。
人格者と評判の女教師がその場をおさめるが、実は彼女こそ、誰にも知られてはならない秘密を隠しているのだった —–
「トラウマ」を武器に縦横無尽に立ち回る、世にも性悪な女、ふたたび!

***************

上記にある黒沢あすかさんが病気降板ということで、初日一ヶ月前に主人公を変更しての上演となった本作。

665089563

黒沢あすかから菅原永二へ変更となり、つまりはこうなった!

06年は青山円形劇場での上演で、好奇の視線が取り囲む中で職員室で起きるドロドロした人と人とのけなしあい、貶めあい、パワーバランス劇が展開していたわけだが、今回は東京芸術劇場の小劇場舞台上に職員室が出来たため、前回の見てはいけない人の心のうちを覗いているという感覚を出すため、客席との間に一つの覗き仕掛けー透視している壁をつけた。この壁が取り除かれ、観客は密室であることも多い職員室の中で起きている秘密を覗くことが出来るという仕掛けだ。

本谷有希子作品の物事の本質を露呈させる力強さ、そして巧みな作劇はもちろん変わることなく健在。劇終盤に主人公がつきつける、付和雷同の世間の潮流にしっかりのっているいわゆる常識人たちへの世の中の仕組みの種明かし、そして「誰もとなりの人の心の中は分らない」という真実は色あせていない。

だが、06年の初演舞台を観劇した時のような戦慄にまで及ばないのはなぜなのか。

それは、キャスティングが大いに関係してくるとしか言いようがないだろう。

まず、初演で主人公ー複雑な思考回路を有する一見`良い人’の女教師で今回は菅原が演じているーを演じていたいのが松永玲子、そして今回片桐はいりが演じている過剰反応を示す被害生徒の母親は佐藤真弓が演じていた。

この中核を成す女性二人のキャスティング、前回、心を病んだ女性二人が一見誰よりも普通に見えたことが、そのあと加速していくばかりの狂気に拍車をかけ、観る側に強烈な闇を感じさせたのだと思う。
主要キャストの路線変更により、必然的に回りのキャスティングもそれに対抗出来る、一癖も二癖もある(ある意味豪華な)役者たちが配されている。

破天荒なストーリーを支えるリアリズムの演技、今回はこれに華と色が加わったことにより、この破天荒な、だけどシリアスな話の針が極端にコメディの側に振れてしまい、その分この戯曲の持つ強さをやわらげてしまったように思われる。

|

« リチャード三世(10/3) | トップページ | ファンファーレ(10/4) »

「観劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/223541/47310127

この記事へのトラックバック一覧です: 遭難、(10/4)マチネ:

« リチャード三世(10/3) | トップページ | ファンファーレ(10/4) »