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2012年10月20日 (土)

文体の獣(10/19)

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中野テアトルBONBONで川村毅氏主宰のTFactoryによる「ソドムの市」で有名なイタリアの奇才P.Pパゾリーニ作品シリーズ第三弾「文体の獣」を観る。

日本で紹介されていないパゾリーニの戯曲ー全集に収められている6作品ーを翻訳から手がけ、シリーズとし連続上演するという、大変に手のかかる仕事に取り組んでいるTFactoryの試みにまずは感謝。

まとめて、続けて上演しえてくれることにより、難解なパゾリーニの世界にもなんとなく慣れてきて、一回ぽっきりの上演よりもずっと親しみ易くなる感じ。。身構えないで「観劇しながら入ってくるように素直に受けとめてみよう」という肩の力を抜いた感じで向き合えるようになった気がする。ー言葉の全てを神経尖らせて追ったところで、奇才の頭の中を全て掌握するのはどえりゃー大変ということにこれまでの観劇体験で気づかされたので。

それにしても、本日午後に観たゴールドシアターの舞台が清水邦夫、チェーホフの言葉ありきなのはもちろんなのだが、それよりも何よりも俳優達の肉体の存在に圧倒された観劇体験だったのに対し、今晩のこの舞台、俳優陣を多く配してはいるのだが、それよりもやはり戯曲の力強い言葉、こ・と・ば、wordsに圧倒させられる。

パゾリーニの自伝的要素が多分に含まれる戯曲だけに、「パゾリーニを深く理解することに務める」のが目的である今舞台上演では上演舞台と同時に作者パゾリーニの年譜を平行させて映写するという手法をとっているのだが、それによって分り易くなったという利点はあるものの、、、その利点を捨ててでも、戯曲のままの舞台というのも挑戦してみたいという気持ちも。

今回、江戸糸あやつり人形座とのコラボで、チラシにも出ているパリゾー二を型どったあやつり人形(デザイン:宇野亜喜良)と(女性)天使様が共演しているのだが、この宇野氏デザインの人形さんたちがとっても魅力的。アニメと実写が共演したり、それこそ人形と実写が共演なんていうのも映画の世界ではごく当たり前のことなのだが、芝居の世界では俳優が人形や映像と共演することはまだあまりなくて(ロボット演劇や子ども向け等身大の人形劇なんかはあるけれど)、そんな中、この組み合わせ、虚構性を増幅させて良いアクセントとなっていた。

戯曲「文体の獣」自体もキャピタリズムの限界が見えつつある今日において、過去の失敗を踏まえた上でどの「理想象」へと方向づけするのか、に関して考えるのにとても興味深い内容のテキストであることは確か。

一辺倒な捉え方でのみ判断して共産主義、資本主義と白黒つけられない、新しい価値基準を作り上げていかなければならない現代人にとって、パゾリーニの悩みはとても身近なもの。

**おまけ**

劇の途中、ナチスによる強制収容所の虐殺に関する写真が大写しにされていて、その中にとても、、とてもショッキングな絞首刑最中のものがあった。。。が、これ、この1枚の写真だけで、多くの演劇作品、映像作品がぶっとぶほどの説得力があった。写真自体をあのように大写しで見るのはしのびないが、、あれがまさにナチスの実態と言えばそういうことなのだろう。

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