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2012年9月 6日 (木)

エッグ(9/6)

Stage29031_1

野田秀樹の新作「エッグ」2日目公演を観る。

まずはリニューアルした東京芸術劇場の中劇場(旧名)、プレイハウスというお名前がついた劇場はさすがに1年半工事していただけあって、ステキにお色直しして再開場。基本的な形状に変わりはないものの、細部がアップデート、ロンドンYoung Vic風デザインなのかな??ー見た目にもスマートに、友人を誘いたい劇場におしゃれに変身を遂げていた。

で、新作、「エッグ」。いつもにも増して内容に関しての箝口令が厳しく敷かれた今作。。おそらく、後半に明らかにされる劇の中心部分に関して「今回は○○○についての芝居。」とレッテルを貼られてしまうのをおそれてのことなのだろうーこれやられちゃうと、楽しみが半減どころか、大幅に減ってしまうので。

なので、そこには触れないでおくが(あと2ヶ月続くロングランなので)、どうもその核心部分へと辿り着くまでのくだりが長い、でもってそこまでひっぱておいての核心部分ー日本人が忘却の彼方へ意図的におきざりにしてきた過去ーだが、それに関しては隠しておきたいという史実・事実はあるものの周知の事実なのでは???あの数字が出てくれば一目瞭然なのでは????と思ったのだが、いかがなものか。
ーーーと思って、帰ってググったら、いまだにこの史実に関して、認めたくないという意見が幅を利かしていることに、その劇中で事件が明かされた時よりももっともっと驚いたーアップルコンピューターの前で。。
(まあ、同様の戦時中の汚点=隠したい事実に関しても、同じような希望的観測の目つぶりの空気であることからも、そうなのか。。。とは思うが)

野田秀樹は井上ひさし亡き後、この忘れ去られる日本近代史の事実を伝えることを自らの仕事の一つと課したのだろうか。
それぞれに表現の仕方、フィクションという特性の用い方、活かし方については違うところがあるのは当たりまえで、、、その意味からすると、野田秀樹の戯曲に、この(あまりにも)ストレートな問いかけ方法が適していたのかどうか、、ちょっと疑問。と言うのも、彼の持ち味である大風呂敷の嘘=imaginativeなフィクションが、このピンポイントの問いかけに適しているのかどうかという点。
(ただ単に史実をひっぱりだすだけだったら、演劇である必要があるのかどうか。。。まあ、前述の現状を顧みるに、この問いを大劇場で問うだけでも大きな意義があるのかもしれないが)

確かに、この「見たくないものを見ない、思い出さない」という性質が現在の状況にもあてはまるという現状から、今、問う意味のあるテーマであることは明らかで、その意味で今日池袋へ集まった観客へ向けた問いであるとは思う。

無自覚にトレンドにのっかってしまう音楽やスポーツのマスの民衆心理が意図的な過去の歴史認識の意識操作と繋がっているという危うさを感じる一方で、肝心要のポイントー今回問題提議されているポイントを再検証し、確認しないから戦後、国の方向性を前進させる事が出来ないんだという点ーを押さえるのにはちょっとフィクションの風呂敷を広げ過ぎたのではないかという気もしなくはない。

前にも言ったようにそのフィクションの壮大さが野田戯曲の魅力ではあり、国・時制・宇宙を越えた世界で人知のボーダーを探るような、強く訴えかける名作が数多くある中、。。。今回の問い=テーマに必要だったのはその方法論だったのか?ということ。
今回の問いに説得力、そして強度を与えるのは、もしかしたら逆方向、、もっと細かい部分で検証をし、リアルな証拠、説明を列挙し、ロジカルにこの問題を論じるというやり方ではなかっただろうか。
この歴史認識問題で重要なのは白か黒かを表明することではなく、なぜ白なのか、どうして黒だと結論づけるのかをディベートの場にのせることだから。


その広げ過ぎた分、細かいところでのリアリティー、例えば主人公の心理状態ーー女性が誰かを好きになる動機、また恋愛感情の移り変わりに関する説得力ーというところがあまくなったと言わざるを得ない。如何せん、メインの二人の心の通わせ方の部分が。。弱い。人あっての世の中だからこの部分、恋愛の部分、大事だと思うのだが。


と、ここまで読んでも、舞台をまだ見ていない人々には何が何やらで、さっぱり。。であろうことは予測できるので、申し訳ない。。。


舞台全体の出来としては、さすがに強力キャストを集めただけあって演技の面では弱いところはない。

特に、藤井隆、妻夫木聡、秋山菜津子、そして橋爪功。。そしてアンサンブルまで楽しめる。

深津絵里も演技者としては申し分ないのだが、、、シンガーソングライターのその歌の部分では、どこかの評でも指摘されていたが、あまりプラスの要素が感じられなかった。—売りである野田秀樹作の歌詞に関しても、販売されているパンフかCDで確認するしかないしー

妻夫木聡 ロングインタビュー


↑妻夫木聡が売れっ子である理由ー彼の役者という仕事に対する真摯な姿勢、そして何事にもオープンな心持ちがうかがい知れるインタビュー!

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