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2012年9月 3日 (月)

背水の孤島(9/1)

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2011年の東日本大震災後間もなくして、直接的に震災、そしてこの震災後に見えてきたこの国のありかたに言及した芝居として大いに物議を醸し、多くの反響をよび、多くの演劇賞(読売演劇大賞、岸田国士戯曲賞ノミネート、毎日芸術賞 など)を受賞した作品の再演舞台。

1年後の再演というのも、なかなか珍しく、それだけ多くの人が観たいと望んでの結果だと思う。


*****2011年9月8日 朝日新聞 夕刊より抜粋 初演舞台時の新聞記事より******

近年注目されている劇作家・中津留章仁が主宰する演劇ユニット「トラッシュマスターズ」が、「背水の孤島」(中津留作・演出)を9日から東京・笹塚の笹塚ファクトリーで上演する。東日本大震災による被災とエネルギー問題に正面から向き合った新作だ。

 今夏の石巻市郊外。被災して納屋で暮らす貧しい一家にテレビの取材が入る。長男が来春、東大を受験するというので、テレビ局は美談に仕立てようとするが、ボランティアとのトラブルや食物の略奪、不倫など、予定調和を裏切る出来事が次々と起こる。

 中津留は5月、被災地でボランティアをして、仮借ない現実を目にした。「生き残った人の中には、自分たちが何もできなかったのに、よそから来た人に何ができるか、といった思いを抱えている人もいる。缶詰を略奪して配った人がヒーローになるなど、美談の裏には違法行為もある。どうしようもない現実の中での矛盾をどうとらえてゆくか、問いかけたかった」

 後半は近未来の東京・永田町。原発を推進する大臣と反原発派との交渉が決裂した場で事件が起きる。

「あくまで虚構の世界なのでリアルな情報を盛り込んだ。エネルギー政策に答えを出すつもりはないが、利権にしがらみのない劇作家としてポジティブなイメージを提示した。シリアスな問題を扱いながらエンターテインメントにするのは、そういう作風の人が他にあまりいないからです」

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初演の笹塚ファクトリーの小空間から今回は本多劇場へと場所を移したということがあり、(初演を観ていないので推測になるが)、また当日配られた無料の冊子プログラム(!!サンキュ)の談話からすると、舞台セットはかなりスケールアップした模様。

また、同じくその冊子の中で作家(中津留章仁)が語っているように、最後の近未来永田町の箇所は大幅に変えているらしい。

3時間越えの上演時間にもかかわらず(途中休憩無し)、一気にみせるだけの「力」は感じるが、どうもその力が過剰な「りきみ」になってしまって、驚き(ショッキング)な体験だけでなく、観劇後ずっと続くような恒久的な問いかけにまで昇華していたかどうかに関してはちょっと疑問。
今の時代、UStreamでもメディアのネット配信でも、個人のブログ・ツイッターでも、その事件の裏側みたいなものに関してはかなりの部分が見れたり、関われたりするわけで、そんな中、虚構のドラマ(演劇)で何が出来るのだろう、と問うたところ。。。人に内在する想像力を喚起させて、未来を考える力、想像力を与えるというところにあるのだろうと思うので。


また、おそらく、この1年間の時間が引き起こした作用ではあると思うのだが、リライトしたという近未来永田町での部分が、既に日常のニュースが追いつき追い越している、、いくつかの劇中の未来予想&苦言に関してはすでに現実世界で答えがでてしまっている、もしくはその根本原因がもっとリアルに見えていることにより、(おそらく)初演時よりもつくられた「嘘」がなす希望的観測のドラマ、それもヒーロードラマのようなこじつけがみえてきてしまったところが惜しい。ーおいおい、それでは安手の「テレビドラマ」だろう、とつっこみたくなる箇所もあったので。


今回の上演でも多くの支持を得ていたようで、それはこのような現実の社会問題・政治問題に真正面から取り組んだ芝居が演劇上演全体の中でとても少ないということの結果であるようにも思える。

その意味で、十分に上演、再演の価値はあると思っている。

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