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2012年6月27日 (水)

温室(6/26)

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新国立劇場で英国を代表するノーベル賞受賞劇作家(もともとは俳優としてキャリアをスタートさせ、演出家の顔も持つー実際に95年には今作「温室」で主役のRooteを自らが演じている)ハロルド・ピンターの「温室(The Hothouse)」を観る。 演出は劇団桃園会主宰で新国立劇場での仕事も多いの深津篤史。

*****あらすじ 演劇サイトより******

病院とおもわれる国営収容施設。クリスマス。
患者6457号が死に6459号が出産したという、部下ギブスからの報告に、驚き怒る施設の最高責任者のルートは、秩序が何よりも重要だと主張し、妊娠させた犯人を探し出せと命令する。
そして、ギブスは犯人が見つかったと報告するが、事態は奇妙な方向へと動き出していく……。

***************************引き続き ネタバレ注意

対面式の劇場の中央には不自然に赤い家具で統一された基調黒色の収容施設の責任者ルート(段田安則)の事務室が。その小部屋の中での一部上層部(エリート)たちのかけひきの様子が劇の進行の大半を占め、そして、その部屋を一歩出た時のポジションを狙う部下ギブス(高橋一生)の暗躍によるトップの首のすげ替えで幕を閉じる。。。360度回転を繰り返す舞台セットが示すように、この権力抗争の反復は現代では世界のどこでも、そして日常的に繰り返されているということだろう。


「ピンタレスクーピンター的言い回し」という言葉どおりの、いかにもピンターらしい暗喩を含ませ、におわせた、意味ありげでありながらその実をなかなか表には表さない、「謎」の迷路に誘い込むような会話が終始展開される。(余談:先日の「水無月の云々」の項で指摘したのがまさにこの「匂わせる」程度の会話手法。どこまで伝わるかは受けて次第なのだが、所詮、そのメッセージそのものが受けて次第という前提ありきのものということ)
今回の収容施設という設定に関しても、その役割に関しては特定されず、それゆえにどの時代のどこの場所でも存在するトップダウンの集団につきものの独裁体制、そのトップに媚びる取り巻き連中、権力に弱い人間心理の話としての普遍性を持つー実際のところ、ちょっと見渡しただけでも、今日この構造を持つ国、国家組織、会社、組織、小グループなどなどはそこらじゅうに存在している。

新国立劇場の常連でもあり、また芸達者な役者を揃えており、段田、高橋、さらにルートとギブスの愛人である出世欲のある女性カッツ演じる小島聖。。。とさすがの演技を披露している。

段田の狡猾でありながらカリスマ性があり、また一種権力者の狂気を感じさせるルート、そして従順な部下を装う策略者で多くの笑いの部分も受け持つ高橋のギブス、と二人のやりとりは一興の価値あり。
最後にちょっと出演する半海一晃もなかなかに味がある。

カタルシスを感じたり、一大イベントのような華やかさはないものの、ちょっと「?」マークを頭に残しながらの観劇体験もたまには良いものだと思う。

国立劇場ならではの割安な値段だからこそ試せる、ピンターナイト。
これも一つの国立劇場の役目だろう。

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