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2011年12月11日 (日)

ポルノグラフィ(12/9)

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文化庁派遣でイギリスへ留学していた文学座所属の演出家、上村聡史の在外研修の成果公演、「ポルノグラフィ」を恵比寿エコー劇場で観る。


*******日本劇団協議会 HPより**********

2005年7月7日・・・
イギリス・ロンドンで起こった地下鉄・バス連続爆破テロ事件。
56名の人生を一瞬にして奪い、世界中を震撼させた。
死亡した人に中には4名の実行犯も含まれていた。
舞台は事件の前、数日間のそれぞれのドラマである。
近親相姦にふける姉弟、報告書の作成に追われるキャリアウーマン、
女性教師にしつこくつきまとう男子生徒、教え子を部屋に連れ込んだ
大学教授、孤独を愛する老婦人、そして爆破事件の実行犯・・・。
消えた命の向こうには何があったのか。それぞれのドラマを通して
見てくるロンドン同時爆破事件とは何だったのか。
地下鉄ホームの黄色いラインで隔てられるかのような生と死と、
行き場を失った現代人の孤独を描く、サイモン・スティーヴンスの意欲作。
*************************************

One of my favourites - 私のお気に入りの一人ー英国人劇作家サイモン・スティーヴンスの代表作「ポルノグラフィ」の日本初上演ということで勇み足で劇場へ。

エジンバラフェスティバルで現ハマースミス劇場の芸術監督Sean Holmes演出による舞台を観て、甚く感動したという経験があり、今回は日本人俳優による日本語上演ということで、また違った作品を観賞することが出来るのだろう、と期待と不安を持ち合わせての観劇。

いや〜〜〜、難しい。sweat01

エジンバラ公演の際にはいわゆる演出的効果ー例えばヴィジュアルであったり附属された効果であったりーが最小限に押さえられ、俳優のモノローグが唯一の演出効果といったステージであった。
裏を返せば、つまり、その見事な成果をあげた舞台の一番の、そして唯一の強みは俳優の演技(もちろんそれを演出家が引き出すわけだが)であったということなのだが、その部分で今回、。。。かなり厳しい。

スティーヴンスの戯曲の大きな魅力として、細部にまでこだわったリアルな描写があげられる。その「細部」という部分で、必然の成り行きとして、戯曲には固有名詞ー通りの名前だったり、店の名前、イギリス人が好む有名メーカーの食べ物の呼称ーがふんだんに盛り込まれることとなり、また、キャラクターが語る台詞には実際にその時に見られる社会現象、それもミクロの視線で観察したちょっとした特徴などが、まさに神業的なセレクションで綴られている。

その語りにリアルを吹き込む役目を大部分のところで負っているのが役者であるのだが、如何せん、この外国の、それもまったく知らない文化背景がキーとなる翻を読み込み、自分のものにするのにはかなりの忍耐&時間&リサーチを要するということを思い知らされた。
ー結局のところ、それしか方法はない、というのは明らかであるわけだが。ー

その成果が今ステージでは役者によってかなりのバラツキがあったように思う。
モノローグを淀みなく話してはいるもののその内容が伝わってこない役者、おそらく表層だけの解釈から演じているのだろうというのがその伝わり加減に表れている役者、がいたのはちょっと残念。


英国生活を経験し、同劇作家の作品を多く観劇し、読み込んでいる(パンフレットより)演出家の作品へのこだわりはそこここに見られた。普段は鳴りをひそめている内に鬱積した何かが吹き出してくる様子、日常の忙しさにかまけて垂れ流しの「明確な意志」、などが水を使った演出によって表現されていた。

世界初演のドイツ、ハノーファーではドイツ人演出家、奇才ニューブリングが役者たちにモノローグを語っていないときには壁一面に張られたバベルの塔のジグゾーパズルを制作させ続けるという、なんとも哲学的な演出をほどこし、人のなし得ることの可能性、そしてそれに対する希望的祈りを作品へと込めたそうなのだが、そこまでの演出家指導の策はとられていなかったように感じた。ー結局のところ、役者優先策をとるか、演出家指導策で押し切るのか、、、どうもその中間というところに落ち着いた感があるのだが、それだからなのか、、最終的な作品としての強さに欠けたように思う。

それにしても、日本人演劇ファンが観たことのない現代戯曲を果敢にも上演してくれるような、今回のような企画はありがたいかぎりであるのは確かなのだが。

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チラシとパンフレットの一番上の箇所に、こう銘打ってあります。『文化庁委託事業「平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」 日本の演劇人を育てるプロジェクト 在 ... [続きを読む]

受信: 2011年12月17日 (土) 20時34分

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