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2010年9月26日 (日)

恋人(Pinter Wave) (9/24)

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横浜のBankART Studio NYKにてtpt(またロゴが小文字に戻りました!)のハロルド・ピンター2本連続上演の第一弾、岡本健一演出(もと男闘呼組メンバーで最近は舞台俳優として活躍)の「恋人 The Lover」を観る。

ギャラリーのスペースをそのまま使用しての2010年ヨコハマアートなピンター劇。

長方形のギャラリーの部屋の細長い壁一面を舞台背景に使用。その対面にー必然的にー横に長く広がるゆったりした階段状の観客スペースを設置。既にそこにあるスタジオの白一色の空間と数脚の透明なアクリル椅子、やはりギャラリーに設置されている運河に面した透明のドア、小さなスツール、、と無機質でシンプルなセット(美術:朝倉摂)に登場した男7人に女3人。それぞれに装飾を排した黒いスーツとミニドレスを身につけ、ファッションショーのランウェイさながらにその細長い舞台を闊歩する。

主な登場人物は倦怠期を迎えた(英国で言うところのミドルクラスの)裕福な夫婦。
冒頭、夫が妻に「今日、君の恋人は来るの?」と訊ねる、ショッキングでミステリアスな台詞で始まるこの芝居。もともとはテレビ用に書かれたというノーベル賞作家ピンターの いかにもイギリス的なOdd (奇妙な)で、sarcastic (皮肉な)なこの芝居が2010年のBankARTではどのような変容を遂げたのか?

イギリスの中年夫婦の他には一瞬登場する牛乳配達人、愛人とされる男(される、、というのがミソ)という、本来であれば少人数(多くの場合が男と女の2人によって演じられる)によるこの舞台。今回は10人と数をいっきに増やしての上演。しかしながら、基本的には男(夫)と女(妻)という役柄を代わりばんこに演じているだけで、誰が誰というキャラクターの演じ分けをしているわけではない。

しかしながら、原作を知らずに初めてこの芝居を観た人にはちょっとその辺りが混乱の元であったようで、巷の劇評欄などからは、ピンターの翻のストーリーを楽しむという楽しみ方ではなく、ギャラリーでの演劇公演をライブの音楽(劇中にパーカッションを効果として演奏する箇所があり)と、若々しい俳優たちの演技を楽しんだという人々が多々いたように見受けられた。

もともと、このPinter Waveという公演企画からして、若手にワークショップから立ち上げた作品を観客の前で発表してもらい、次へと進めよう、という趣旨により発足したとのこと。プログラムにもわざわざwork in progress (創作継続中の芝居)と明記されている。と言うわけで、様々なことが、いわゆる従来の演劇公演のメインストリームとは違った形で試されているこの公演。8月初旬に公演に先がけて行われたワークショップとそれに引き続いてのオーディションによって選ばれた俳優たちとの継続的な試行錯誤により、劇場空間ではないこのギャラリーに適した上演方法、そして集団で一つの役を演じる事の面白さをせっかくのこの機会に試してみたのだ、と演出の岡本氏は語る。ー終演後に役者さん、演出家、制作スタッフさんなどなどが、み〜〜〜〜んな1階のバーで一杯やっていくので、駅に急ぐ前にそのバーで一息ついていく事をおススメ! ざっくばらんにいろいろお話してくれますよ。ー

倦怠期のミドルクラス夫婦の歪んだ(同時に幸せと言えば幸せな、お気楽な人たちの)性願望とそんな愚かな人々の内心を暴露しちゃった、意地悪な原作とはちょっと離れた迷える若い「恋人」であった事は確かだが、ま、これも「われわれの`恋人’を上演したら、こうなった」というところだろうか。

2〜3年前にロンドン ウェストエンドで同作品を観る機会があったのだが、(ノーベル賞受賞とその際の反戦スピーチの影響からか、この数年、英国ではピンターブームと言われるほど多くのピンター劇が上演されているのだが、その恩恵に預かったという訳)、もちろん、その時の舞台はロンドンの郊外にある瀟酒なお屋敷で、絵に描いたような身なりのきちんとした奥様と、これまた絵に描いたようなイギリスシティでお勤めしているようなスリーピースをきっちり着こなした旦那の、暗号のような会話でパズルのように入り組んだ、「if...もしかして。。」と勘ぐらせる知的ゲームのドラマだった。

今回の岡本氏も初演出ということだが、次回の第二弾「コレクション」の広田敦郎氏も演出は初めてとのことー数多くの翻訳では広く知られていますが。

ヨコハマ ピンターの第二弾はどんな風に変貌しているのか、いないのか、、、また報告します。

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