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2010年9月15日 (水)

聖地(9/14)

Seichi

蜷川幸雄率いる高齢者劇団、さいたまゴールドシアターの最新舞台「聖地」を初日に観劇。(上演時間は3時間半ーーでも、沢山のキャラクターが次々と出てきて、それぞれの個性を発揮するので、飽きませんよ、皆さん!)

またしても、異例の劇団ならではの発見、楽しみ方が出来る舞台に仕上がっていた。

例えば、劇中、70〜80歳の素のままで十分お年寄りの人たちが`老人ホームにいるお年寄り’のふりをする、つまりお年寄りがお年寄りを演じるというシーンがあるのだが、これ、絶対に他では観ることの出来ない演技です。

それと、やはりゴールドシアターを初回から見続けているファンとしては、毎回目の前で確認できる、彼らの進化、ー今回は、一律ではなくて、それぞれの進化の違いなども見て取れたーが見物の一つだ。
それこそ、新人歌手が2〜3年後に大物のオーラを放つようになる変貌ぶりをみるかのように、「へ〜〜〜あの人がこう化けたか。。」と劇団公演ならではという継続的に見比べる楽しみもあるので面白い。

全体的には発声をきちんとやってきた人(役者)のその達成度が結果として現れてきたように思う。ー芸に近道はないのですねー

プロンプトをつけてはいたものの、それほどにはお世話になることもなく、特に後半に入ってからは初日という固さが取れ、ノリが増してきてテンポ良く運んでいた。これから日を重ねるごとにもっと進化していくことでしょう。


で、今回は、消えた100歳以上の高齢者たちのニュースと重なり、とってもタイムリーなお話。37歳、演劇界期待の星、松井周による世の中から取り残された老人たちのお話なので、まさに演じている役者たちのリアルな年齢の人々を描いた劇となっている。

このまさにあて書きのような戯曲。。しかしながら、実際には舞台上の役者たちと翻の間にーなかなかおもしろいー微妙なズレが生じていたように思う。それが何なのか、なぜなのか?ちょっと考えてみたい。

松井さんのインタビューはこちらから;
松井周インタビュー

インタビューで話を聞いた際に、松井さん自身が`今回はお年寄りの世界を描いたけれど、それに対する若者世代、つまりは僕たちの世代からのつっこみの声、も入れてあるんです。やっぱり一方向からの言い分だけでなく、それに反応する別の声も入れたかったから’と答えていた。で、実際にほんの少し(全体の1%にも満たないぐらいの分量で)その老人ホームでバイトで働く若者の、ま、たわいもない発言部分などがあったのだが、このツッコミがやっぱり言葉としてがぜん活き活きしていた。
なんだか、そこの台詞で急に自信に満ちた発言になっているんです、これがー役者の力量ということとは関係ないとは思うー。

また、一方、稽古場を訪れた際には、70歳代のゴールドシアターメンバーに今回の戯曲についての感想を訊ねた際、「う〜〜〜ん、若い人にはわれわれはこんな風に見えているのかな?ちょっと違うような気もするけどね。でも、お芝居だから、それはそれとして演じるよ。」というとまどいの声も聞かれた。

もしかしたら、高齢者が全人口の中で占める割合が年々大きくなっている、この高齢者大国日本において、作家の描いた少々のズレ、そしてゴールドシアターのメンバーたちが日に日に築いてきた実年齢とのギャップ(なんだか皆さん会う度に若返っているんですけど〜〜〜)が、この微妙なズレとなって現れてしまったのかも。

つまり、この`微妙なズレ’が生じた原因として、役者たちの心身ともどもの若々しさ、気持ちの前向きさがあるのではないか。
彼らが進化して、若さを取り戻し、上達するほどに、この劇を演ずるには役者としてさらに、もう一つ先のステージまで行かなくてはならない、つまり弱くて後ろ向きな老人を`演じ’なくては成立しないというなんとも皮肉な現実が上演するにあたって見えてきてしまったのではないか、と思う。

つまり、これまでの台詞を覚えて、出来る限りリアリズムに見える演技をするという彼らの課題は、もう後ろに過ぎてしまっていて、これからは与えられた役を、まさに`演じる’ことが求められているという事である。

大変なのは重々分る。でも、プロの劇団として活動している以上、やはりさらなる上の、次の段階を目指してもらいたい。また、それが出来るはずだから、と付け加えたい。

劇の全体のトーンとしては、先日の「ハーパー・リーガン」にも繋がる`人は計り知れないものである。予想の範疇を越えたことは日常で沢山起きている。’ということを、今回は特に老人の世界と言えども例外ではなく、それはどの年代にも共通することで、やはり`老いても、人はますます迷走する’と言う事を語ってくれている。

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