プロペラ ヴェニスの商人
東京芸術劇場にて英国からの来日カンパニー、プロペラの「ヴェニスの商人」を観る。
終演後に演出家、エドワード・ホールと新芸術監督、野田秀樹のトークがあるということもあり、ほぼ満席状態。
演劇関係者、シェイクスピア研究者、舞台批評家、などなどなど。。。勢揃いの客席で、私の両隣には、またしても大あくび(なぜか、私の隣に座った方々は居眠りし始めるかたなどのケースが多い、、でもってカーテンコールではしっかり拍手をしている???なぜなぜ?)の方が。観たくないなら休憩後に帰れば??でなければ、2幕の間中ず〜〜〜〜っとポリポリ頭掻くの、、どうにか我慢して欲しい。
今作品、英国で一足お先に観てきていて、それも数週間前の事なので、同じ感想なのだが、やっぱり面白かった。![]()
ヴェニスの街をヴェニスという名の刑務所へと設定を変え、囚人服に身を包んだ役者たちは劇の冒頭と真ん中、最後に語られる台詞「どちらがユダヤでどちらがキリスト教?」の言葉どおり、一見したところでは、普通の舞台で明らかに示されるユダヤ人側とキリスト教側の区別がつかない。その上、オール男優という劇団なので、男女の区別も難しい。ーここの劇団の特徴の一つとして全員男性で演じられるのだが、女性の役だからといって宝塚のように男に見せかける格好をしたり、歌舞伎のように女らしさを強調して女形をやったりはしない。マッチョな男がそのまま女の役を演じている。これは、演出家によると、それの方が役と役の間柄がクリアーに見えてくるから、という理由らしい。確かに、女たらしの役があったとしたら、通常はその役者がいかに女たらし然として見れるかという、話の筋とは違ったところでジャッジされる傾向は多くのところで見受けられる。ーそんな、一見同じに見える集団の中で起こる、理由なき差別、裏切り、陰謀、金持ち女性を利用するゲイカップルとまた一方、そんな旦那に愛想をつかしながらも諦めて受け入れる新妻、などなど、アフタートークで演出家が話していた通りに、従来はそのありえない展開にとまどう観客をよそに、その話の強引さを隠すために「ユダヤ人種差別と人肉裁判」などショッキングなレーベルが貼られそのレーベル劇としてみられ、片付けられてしまう「ヴェニスの商人」がその翻訳と舞台のアップテンポによりかなり分り易く、現代に通じる話として上演されていた。
ユダヤでもキリスト教でも日本人でも、弊の中の囚人各自が自分の利益になるように、いろいろと画策を練って、悪事を働かせ、取引をしていく様を分り易く示す事により「ヴェニスの商人」という劇の普遍性ー人の私欲とその人間同士のかけひきーを語ってくれた。
度々見られた、観客へと直接訴えかける演技、また役者同士の普段の会話のような会話のやりとりが舞台をさらに観客側へと引きつけていた。
で、今回の金のくちばし的なおまけの一つが、やっぱり野田さんとホール氏のトーク。
中でも、野田さんが、初めに無難な回答できりぬけたホールへダメだしをだして、さらに引き出した15年前の日本でホールが日本人俳優で上演した「リチャード三世」公演の際のエピソード。
「僕にも次に何が出てくるのかが分らなくて、初めて見る衣装を身につけた役者が舞台上で演技をしているのを観ていたら、舞台を見終わる頃には、まるで英国から日本へ着いたばかりの僕が誰か他の演出家が演出しているリチャード三世を観ているような錯覚に陥った。」と言っていたのが大受けにウケました。
演劇留学生として来ていた彼が体験した出来事は、彼が既に権威のある大御所として来たのではなく、まだそれほど経験もない状態で異国の地で味わった苦い経験だけに、けっこうトラウマになったのだろうな〜〜と想像します。いくら、遠くは慣れた異国の地で起こった事とは言え、やはりキャリアとして残りますからね。。。思い出したくなかったんでしょうね。
プラス、その無難な回答として答えていた話の中にも、国際交流プログラムの難しさをついた問題提起があり、「ただでさえ、暗喩などが多くその解釈、表現が難しいシェイクスピアの戯曲。その戯曲を日本語で上演する難しさを痛感した。」と語っていたのですが、これ、かなり普通に流されている問題ですが、かなり重要だと思います。
翻訳家が翻訳家の仕事を完璧にこなしたとしても、翻訳本と舞台作品の間にまたまた大きな高低差があるもの。それをネイティブでない演出家がテキストにまで踏み込むと、深くて抜けられない問題が出てきて当然だわ。
だから、野田さんだって最終的にロンドンでは英語で上演することにしたんでしょ?
ホール氏が体験した、一つの国際プログラムから、本当にいろいろな問題って見えてくる。
*日本の制作方法と英国のそれとの違い
*翻訳劇の扱い方
それにしても、出来上がった作品が思い描いていた物とは全く違っていたって、、驚いただろうな。
| 固定リンク
「観劇」カテゴリの記事
- 錦繍とあの人の世界(11/6)(2009.11.07)
- 甘い丘(2009.11.06)
- ろじ式(10/31)(2009.11.05)
- ファンタスマゴリア(2009.11.05)
- ステルスボーイ(2009.11.05)



コメント