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2009年2月11日 (水)

マルグリット

L024834


ホリプロ主催、英国人演出家ジョナサン・ケントによる「マルグリット」初日を観劇する。

社運をかけた大プロジェクト(!?)、様々なビジネス要素を含んだ戦略、チャレンジが含まれているんだろうな〜〜〜というプログラムだけに、客席中央部はそのビジネスの匂い漂う社交の場となっていた。
ウェストエンド、ブロードウェイの初日なんかも(ま、規模は大分違うんだろうけど)こんな匂いなんでしょうね。

で、舞台ですが、さすがにウェストエンドでも評価された舞台(それを今回は日本人キャストでという趣向)だけに、パッケージ自体は大変良く出来ている。オペラ舞台として有名は「椿姫」の設定を第二次世界大戦下のパリに移し、ドイツ人将校、オットー(寺脇康文)の愛人マルグリット(春野寿美礼)を中心に彼女との悲恋に運命を翻弄される若きレジスタンスアルマン(田代万里生)、と、この社会的立場が全く異なる(占領側のドイツ人の権力者、その愛人であるもと歌手のフランス人、そしてその権力に抗うレジスタンスの若いフランス人)三人の恋愛物語。

あくまでも恋愛を主軸におきながら、ヨーロッパ社会での権力争いの中で翻弄される人々、そしてその混乱の中、純粋に生きる主人公マルグリットとアルマン、そしてそれをとりまく計算尽くめの取り巻きたち、と随所に見せ場があり、物語は観客を飽きさせる事が無く、セットも豪華、演出も(現代向けに)スピーディー、となかなか文句のつけようはない。

で、そうなると、今回の日本バージョンでの成功の鍵を握るのは何と言ってもキャストでしょう。

で、主役の春野さん、、、やっぱり悪いけど、及第点はとっているけど、ミスキャストの感は否めない。
それこそ彼女の演技が、容姿が、、歌が、、というレベルではなく、社運をかけた世紀のプログラムを引っ張っていくだけの説得力がない。どちらかというと、とってもあわない役をさすがに無難にこなしていると、かえって褒めてあげても良いぐらいかも。恋愛体質、年下のピアニストに溺れていく、一方ではドイツ人将校を自分の生活のために利用して手玉にとる、、といったようなファム・ファタール(小悪魔的悪女)というイメージが微塵にも感じられないんですよ。どちらかと言うと同じ戦時下でも清く正しく美しく。。の例えばサウンド・オブ・ミュージックの主役の女家庭教師なんかの方が良かったかも。
初日の会場は彼女のファンの熱気でヒートアップしていたけど、、、、う〜〜〜〜む、まったく存じ上げなかった一人の観客としては、なぜ彼女にしたの?というのが正直な感想。

それに反して、初見にして多いに引き込まれたのが若い愛人アルマンを演じた、田代万里生くん。ミュージカルは初挑戦、という事でしたが、その高音は観客を呼び込む魅力大。
これから、いろいろなミュージカルの舞台で彼を観る事になるのだろうな〜という予感いっぱいです。
ま、それにつれて演技の方もどんどんついていくのでしょうし。それはおいおいということで。

寺脇さんに関しては、その存在感はさすが、と言うものの、やっぱり舞台経験を積んでいてある種のうまくまとめるという方法も知っているだけに、、、歌に魅力がなかった。。かな。

ま、この演目はレパートリーとして続けていくんでしょうから、第一弾としては、それこそビジネス的戦略として、打ち上げ花火の華やかさ、バランスとしてこのキャストで行ったんでしょう。それはそれとして成功しているのでしょうね。

かえって、再演のキャスト、、、(再出演の可能性も含め)そのキャストの舞台に興味があるかも。

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