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2008年4月

2008年4月12日 (土)

顔よ

Kao2


下北沢、本多劇場にてポツドールの「顔よ」を観る。

開幕直後から巷で/オープン投稿サイト一行レビュー/の中で★を量産している芝居だったので、期待しつつ劇場へ。
これが、期待をさらに上回る感動ものの力作。

芝居の中味&役者たちの好演に加え、劇場へ入ってから幕開けまでの場内音楽選びから、シーンの間に入るスクリーン上映による場面紹介、、すべてがかなりかっこよくて、涙がちょちょぎれる(古いよね)ほどの感激もの。

今の時代を十二分に意識した上での、いわゆる演劇にありがちな独りよがり、、自己満足型の芝居にあらず、観客、プラス将来の観客のニーズを見据えた、かなり熟考された作品。
細部にまで意識配慮がなされていて、その意味では現日本コンテンポラリー演劇における偉大なるウェルメイドプレイと位置づけられるだろう。
一見、本能のおもむくままに書かれた、過激な手法を用いたこけおどし的舞台と見せかけておいてー舞台上で下半身露出してマスターベーションはするはアダルトビデオは流すはセックスシーンはもちろんありでーその実、人の深層心理を見事に描き出したかなりまじめな演劇作品。

顔の美醜とそれに過剰に反応する現代人ー実際、その手のビジネスが世の中で蔓延しているので、マスなレベルでの感心ごとなのであることは明白ー、それに対してのシニカルな問題提議がなされていて、観客それぞれに主題を考えさせる機会も上手に与えている。

今回のこのキャスト以外での上演というものが将来あり得るのかどうか??その潔さにも、三浦氏の演劇に対する真摯な姿勢がうかがわれる。
結局、シェイクスピアは長年受け継がれ上演されつづけているけど、観客が観て評価するのはその目の前の舞台であって、その意味ではこのような一回性の芝居というのはかなり贅沢な、そして極めて演劇的な上演であると言えるのであろう。

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2008年4月 9日 (水)

Blue Man Group/ 浅草物語

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2008asakusa

(ちょっとこのところの観劇レビューの掲載が観劇日から逆戻りになっておりますが、数日のズレなので気にしないで下さい)

Blue Man Group

六本木にこの公演のためにわざわざ建設した、インボイス劇場なる特設会場へブルーマングループのパフォーマンスを観に行く。
ちゃんとバリアフリーになっているのか?それだけが心配の種だが、とにかく非常階段のような鉄骨の階段を上り会場へ。
入り口で参加意識を高める白いハチマキを受け取り(これって、海外でもやっているのかな〜?日本だけ??)、席へ。
隣の妙な盛り上がり方をしている若者は気にせず、、ブルーマンたちの登場を待っていると、、自分の名前が電光掲示板に。。これもオープニング前から会場内に一体感をうみだす為の演出らしく、、みずしらずの多くの方々からハッピーバースデーを祝ってもらいました(誕生日じゃないけどね〜)。

で、このブルーマングループのショーが拝みたくなる程、細部にまで渡って、よーーーく考えられていて、観客とブルーマンたちによる観客のための参加型エンタメショーという、素晴らしいコンセプトのもと、素晴らしい出来のものでした。
ちょっと、チケット代が割高なのは認めるけど、、それでもブルーマンをまだ体験していない人は、ぜひ一度ブルーマンなるものを体験してみることをオススメします!

音楽が好きな人も、ビジュアルアートが好きな人も、アニメ好きも、お笑い好きも、外人好きも、そしてエンタメ好きは絶対に大いに楽しめる事請け合い!

パーカッション演奏、スキッとして良いよね〜、いわゆる和太鼓のすっきり感と通じる。
シンプルなんだけど奥が深い、、それがロングランの秘訣だよねー。

浅草物語

池袋の芸術劇場へ民藝の「浅草物語」を観に行く。
会場の観客の平均年齢はおそらく65歳くらい。
前の席に座っていたーそれも休憩後の2幕からーリーマン二人組はおつきあい観劇らしく、入ってきた途端にイビキをかいて熟睡。。そこまでして来なくても良いから。ほんと、時間を作って駆けつけたんだろうけど、かえって失礼だから。。

で、芝居ですが、これをやっていたから新劇ってすたれていったんだろうな〜〜〜というものの良い教材でした。
話がつまらない訳では決して無く、役者はもちろん平均点以上の演技をきっちり、ちゃんとなさっているのですが、、、わざわざ劇場まで足を運ばないわなー。
今の時代、テレビ、DVDにYou Tubeもあるし、、と思わせるようなお芝居でした。

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Mishima ワークショッププロジェクトVol.1

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流山児★事務所公演「Mishima ワークショップ・プロジェクトVol.1ー綾の鼓、道成寺」を早稲田の劇団所有のスタジオ(だと思うのですが)Space早稲田で観劇する。

オーディション選抜による若手役者たちの舞台なのだが、これがなかなか良かった。

小さなスタジオで、ほとんど舞台装置なしの裸舞台でやっているため、かえって三島戯曲の言葉が伝わってきて良い結果を生んでいた。

ワークショップを経ての上演と言う事もあってなのか、若手役者に戯曲が浸透していて、若い人たちが寺山なり三島なり、同世代ではない戯曲家の作品をやる際に陥りがちな上質な戯曲のうわべだけをなぞったような舞台にはなっていなくて、きちんとみせていたために、2作品とも中味の濃いものに仕上がっていた。
それに加え、流山児氏の演出、男女の役割の入れ替え、短いダンスシーンの挿入などが芝居に程よい緊張感をプラスし、、その演出の妙もあり、あらためて三島戯曲を堪能することが出来た。

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どん底

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出のケラ版「どん底」を渋谷シアターコクーンで観る。

ロシアの文豪、マクシム・ゴーリキーによる106年前の社会主義リアリズム劇「どん底」が2008年の渋谷でとんでもない異彩を放っている。

ケラがパンフレットの冒頭で語っている通りに、見事なまでに100年前の外国戯曲を現代に蘇らせている。それもただ単に名作を丁寧に復刻上演しているのではなく、まして、我流に彎曲し、別物に仕立て上げているのでもなく、丁寧に戯曲を読み込み、今上演しうる最高の形での劇を作り上げている。その読解力と舞台づくりの独創性に大いに拍手!!!!

話の概要はほとんど原作のまま、(若干、新キャラを足していたり、必要に応じての役足しなどもありますが)、台詞の一つ一つは細かく吟味し、現代に通じるように、そして面白く劇を見続けられるように加筆してあります。

この`面白み’に関してなのですが、かと言って、決して笑わせることを主目的としている訳ではなく、あくまでも潤滑油の役割を果たしており、またキャラクターを魅力的に見せる事にも一役買っており、、これこそが、丁寧な芝居づくりというものだ、と感謝、感謝のアダプテーションです。

それに付け加えの部分が、音楽、役者、舞台セットと全てがプラスの要素となっており、総合点でかなりの高得点をはじきだしている舞台。必見です。

さらに、さらに、、原作のリアリズム、つまりは人の世のやるせなさ、現実の厳しさを白日の下にさらけだすという劇の本質に加え、ケラ版には「希望」がプラスされているのがすごい。
どん底の住民たちのたくましさ、強いては人というものの生命力を肯定して、それを何とも言えない「心の希望」へと繋げていっている、、これぞ平成の「どん底」、名作ここにあり!と。

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バーム・イン・ギリヤド

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アメリカ人のエンタメ界の巨匠、ロバート・アラン・アッカーマンが日本で始動し始めたニューカンパニー、その名もThe Companyの本格的始動第一作「バーム・イン・ギリヤド/Balm in Gilead」を新宿シアターモリエールで観る。

シアターモリエールって、今まで何を上演してきてたの?? 場所は三越裏でものすごく良いのに、観劇歴25年の私ですが、芝居を観に行ったという記憶がないんだけど。。。。音楽ライブとか映画上映とかやっていたのかな〜?? 

ま、いずれにせよ、場所選びはドンピシャで大正解。まさに劇設定のニューヨークの人が行き交う場所にある若者達の溜まり場という雰囲気にぴったりの場所でした。 さらには劇場内に作られたニューヨークダイナーの舞台セット(加藤ちか)も完璧で、開演前の期待は最大限に膨らんだのでした。。で、その後。

開演直後、30人からなる役者たちが客席(小さな劇場なので、舞台との距離もほとんどなくすぐ客席に来れる)へなだれ込み、それぞれの素性、欲求などをGIVE ME!!!とアグレッシブに客相手に訴えかける。ここまでも、若者たちの勢いが時下に伝わってきてオーケー!
で、その後、舞台前での短いナレーションとその乱雑なダイナーで繰り広げられる若者達の会話、けんか、独り言などからそこにふきだまる満たされない若者達の状況が描かれていく。
アッカーマンの演出は、さすがベテランだけあってそつがなく、感心するところしきり、なのだが、、なんだかどんんどん心は舞台から離れていってしまうのはなぜ?

つきつめるところ、やっぱり、この60年代のアメリカの芝居を2008年の東京で上演する意味が、今一つ理解しがたいというところに行き着いてしまう。舞台にリアリティーが感じられないのだ。それこそ、アッカーマンが一番大切にしているところの「芝居のリアリティー=舞台上の世界と今日との接点」が見えないのである。
確かに、今の日本でも若者のドラッッグ中毒とか、売春行為とか、確実に大きな問題ではあるとは思うけど、当時のアメリカ社会におけるその現象と、今の渋谷あたりの現象とは大きなギャップがあり、ー例えば、今の日本の若者の大半がファッションとしてクールだからドラッグをやり、ブランド品の為に身体を売り、、薬中やアル中から抜け出せなくて悩む若者よりも、人との距離のはかり方、自己の存在価値を認められない、、などの悩みを持つ若者の方がはるかに多く、その若者のうっせきの仕方、そのモヤモヤの発散の仕方なども当然の事ながら、この30年間にかなりの変化があり、それがニューヨークのダイナーではどうしても表現しきれていない、という悲しいかな、俳優達の熱演にもかかわらずの結果になってしまっているのである。

それに加え、、やはり主役級の二人のミスキャストも、舞台全体をしらけさせる要因となっているように思える。
パク・ソヒも宮光真理子もそれぞれに良い役者であることは、もちろん認めるが、、この30人のパワーの中心を担わせるのはちょっと酷。中心であるべき、二人の会話シーンが一番弱い、というので、そこで流れを止めてしまっていた。
中嶋しゅうと町田マリーのあまりにももったいないキャスティングにも???ハテナマーク。

そんな中、確実に将来このカンパニー、いや日本演劇をしょってたつ、逸材たち、、ー中川安奈、斉藤直樹、チョウソンハ、、、玉置、町田、矢内、カトウ、、などなど、などなどに貴重な体験をもたらしているという意味では絶対に価値のある舞台であるということも付け加えておきたい。
(でも、あくまでも商業公演として上演しているので、なんとも言いがたいが、次回作に大いに期待するところ)


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ちょっと良い話

楽あれば苦あり、運命周期というのは様々な事象にあてはまるようで、、良いときもあれば悪いときもある。物事はそのようにサイクルしているようです。

と言うのも、このところの演劇界、去年あたりはそのリズムの底の方にあったようで、なかなか良いものが出てきていませんでした。いわゆる低迷期状態で、才気あふれる方々の作品でも、良いけれど、椅子からジャンプしたくなるほどの驚きはない、、という感じだったのですが、、、このところ、その低迷期脱出の兆しが、まさに春の若葉の芽ぶく予感が、、、してきています。

さすがに「これではマズい」という危機感からそれぞれが奮起したのか、みんなちょうど同じ時期に息切れしていたーそれが去年ーのが、力を貯えクリエイティブなエネルギーが復活してきたのか、、これからの数年が楽しみ!、そんな予感が。この予想当たってくれれば良いのですが。

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