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2008年1月

2008年1月 2日 (水)

「Love Love Love R36」 から「 死までの短い時間」 そして2007年

12月18日ーキル 野田マップ(再見)前ページ参照して下さい。

12月19日ーLove Love Love R36 by 扉座
★★★(★半分)ー3.5

通常は研究所の卒業公演で上演しているという恋愛をモチーフにした短編をオムニバス形式でみせる形を今回は本公演にて、それも今をときめく売れっ子劇作家陣に短編執筆を依頼しての豪華コラボレーション版恋愛(それもちょっと年のいったR36指定の)オムニバス劇。
持ち時間がそれぞれ10分ちょっと、とショートなだけにどこでオチを効かせるのかというのが見せ所、アイデイア勝負の、見ている側には大変オイシい企画。その企画段階である程度の勝算が見込めて、さらに実現段階ではホッと一息既につけるであろう、、という何と言っても企画ありきの舞台。
恋愛ショートものと一言で言っても、そりゃもうR36ともなれば、いろいろある訳で、全てがハッピーエンド、失恋物語、、などストレートなものでは無く、恋愛話ともなれば必然的に肉体関係が様々なかたちでついてくるんだよーーんなんて、現実的なダメダメなエピソードをからめているものの方がひねりがあって面白かった。
鈴木聡の「小平」、千葉雅子の「幻の花たちの唄」、、さすがに上手い。

12月20日ーK-Ballet 「くるみ割り人形」
★★★★

上野の森で年末恒例の「くるみ割り人形」バレエ公演を鑑賞。
2006年初演時で大絶賛を浴びた、K-balletの「くるみ割り人形」。今回もその芸術性の高さを維持し、細かいところでさらなる修正を入れながらの再演で、これぞ「くるみ割り人形」という舞台をさらなるストーリーの細かい解釈とともに観させてもらった。
ぜったいこのプログラム、海外へ持っていっても現地(例えば、パリでもニューヨークでもロンドンでも)のカンパニーと比べて遜色の無い、売れる価値のある演目だと思いますよ。すごい!!

12月23日ーカミノコクウ /大駱駝艦
★★★(★半分)ー3.5

大駱駝艦35周年記念公演、2部構成作品の後半作品、カミノコクウ 千秋楽を観る。
前半公演、カミノベンキと構成的には似通っており、舞台装置の配置も似ているが最後の場面でカモノベンキのラストとシンクロする以外はもちろん個々のプログラム(振り付け)はまた全く別のものとなっている。
前回のベンキのステージが太古の生物誕生物語だったものから、今回はさらに時を経て有史時代へと移ってからの人物の営みを表現していくようなものとなっていた。それゆえ、前回の感覚的な踊りから観念的な踊りへと、、良く言えば様々な仕掛けがあり、凝ったものになっていて、、反面、踊りという表現としてはちょっと物足りない、もっと動いて欲しいというステージであったように思う。
最後に結局は同じモチーフをみせる事で、2部構成の結論、、結局太古から人類はそれほど進化はしていない、というメッセージを感じる事が出来た。
それにしても、公演内容に加え、大駱駝艦、そのものの存在意義を大いに考えさせられる舞台で、
例えば、ラストのシーンでは感極まった観客から、堰を切ったように「いよっ!!麿 赤兒」と歌舞伎公演さながらのかけ声が飛び交い、公演後のロビーには一言ダンサー達にお礼を言いたいと言う観客達が溢れかえり、、この師走の忙しい時期にこれほどまでに人を引き付ける魅力のある舞台づくりが出来るという、その事実に感激。
舞台づくりは長い目で続けていかなくては、、と思い知らされる大駱駝艦の存在です。

12月26日(マチネ)ーあらしのよるに/ 演劇集団 円

★★★
円による、クリスマス恒例の児童劇シリーズ。両国シアターXの劇場は客席前方に作られた桟敷の子ども席と後方の大人席も大入り満員の大盛況。
これを見ても、劇団がやれることの一つに児童演劇公演というのがあると言う事がはっきりと分かる。
ドラマというのが義務教育カリキュラムに無い日本だからこそ、演劇が児童教育の現場で果たせることってかなりあると思うんだけど、実際にそれを実行するのってやはり始めの一歩が大変なんだろうな、と思う。
昨年の別役作品とはまたひと味違って、今回のはかなりストレートな子ども向けのお芝居。
シリーズ化されている作品で劇団の代表作の一つでもあるということもあり、ハンドメイド風のカラフルなセットと衣装で歌を入れながら親しみやすい演出に子ども達は大盛り上がり。

12月26日(ソワレ)ーわが闇/Nylon100℃

★★★★(★半分)4.5
ホームドラマというごくごく小さな世界の中で、特別な誰かではない小市民一人ひとりの人間、そのダークな部分(闇)を様々な視点で、様々な角度から見せていくドラマ。2004年年末の「消失」でもその人間観察の部分で卓越した観察眼を示したケラの才能が存分に発揮され、また役者達がその素晴らしさを体現した傑作。
お得意のナンセンスの部分の笑いも織り交ぜながら、あくまでも劇を貫いているのは、バカな人間という生き物に対する人間肯定の姿勢。
徹底的にバカバカしい人間の愚かな部分、一見表面には出にくいが奥が深いドロドロした心の闇の部分、傷ついているが故に心に影を落としてしまう、そんな心の闇の部分、、一人ひとりが心に抱える闇も、実のところ月の満ち欠けの闇のように、対する人間に照らされるかどうかによってその闇が漆黒に埋もれるか、それとも輝きを取り戻すか、が決まると言った人の闇を照らすも曇らせるも、その人に関わる人間次第、という演劇の基、人と人との関わりを問うたヒューマンドラマが年末を締めくくる作品として、人々の心へ響く。
今後も、時に、ナンセンスのオブラートに包まない、ストレートな芝居でケラの劇世界を伝えていって欲しい。
それが十二分に出来る作家だと思うので。
ps 映像演出取り入れの第一人者だけあって、プロジェクター演出も効果的だった。

12月27日 ー死ぬまでの短い時間
★★

今年最後の観劇で、森下のベニサンピットへ、岩松了作/演出の「死ぬまでの短い時間」を観に行く。
北村一輝、秋山奈津子 主演で、自殺の名所へ死ぬために来た女とその土地で働く、その自殺名所へ客を運ぶタクシー運転手、、その二人の出会いとその後の運命。。なんて、なんだかミステリアスでおもろそうな設定、と期待するも、、何だか冬の風が寒いと感じる結果に。
音楽劇ー劇中に挿入歌があり、舞台後方に位置するロックバンドがオリジナル曲を演奏、歌うーの設定が、どうも不必要なものを無理矢理聞かされている感が拭えず。
フィンランドの映画監督、アキ・カウリスマキの`不思議おもしろかっこよい世’界を舞台に再現、、のつもりであったらしいのだが、何ともとんちんかんでダサイの方へ行ってしまったようなのだ。
作為的なものが見えちゃうと、不思議なおもしろさ、、ってなかなか表れてこないですよね。

で、2007年もあっという間に終わってしまいました。

今年は何度かイギリスへ観劇で訪れる機会も得、日本と英国を見比べながらの芝居観劇年であった。そんな中、英国へ行く度に痛感させられるのは、演劇の土壌の違い。
その中でも特に、毎年、世界中から演劇界の猛者を会する、スコットランドのエジンバラ演劇祭は大きな再発見でありました。
巨大ビジネス化しすぎたとの批判もある中、行ってみたら、芝居エネルギーが充満する演劇ファンにとってはヘブンのような、すごい所でした。夏はエジンバラ、が恒例になりそう。

一方、国内、、長い進歩の過程には必然の停滞の時期があるのもしょうがない事で、そんな内容での停滞であるならば、2007年の日本現代演劇界の不振も余裕で見過す事も出来ようというものだが、、、ますます加速するハリウッドタイプエンターテイメント、つまり顔見せパンダのようなキャストで前売り券を売り、またテレビの誇大広告で前売り券を売り、そして、何か一つでもヒットすれば、続、、続続、、そして続続続、、とその同じアイディアで二番煎じを繰り返す、そんな興行が続くような調子では、、日本の将来と並行して、ちょっと日本演劇界の将来も不安になると言うもの。

そんな中、2007年の演劇界で唯一気を吐いた老年パワー(蜷川ゴールドシアター、オールド・バンチ)、そして35周年の大駱駝艦、年をまたがっての(実質)レパートリー上演を敢行しているこまつ座などのがんばりを見るにつけ、演劇はある程度のスパンをもってその成果を観続けていかなければ、実質は図れない。真の勝者は分からない、と思ってしまいますね。

老舗による食品偽装問題が世間を騒がせた2007年、メッキではなく、偽装食品ではなく、「真」の舞台とは?100年後も残る舞台とは???と、そんな事を考えさせられる年でした。

2008年へ向け、フットワークの軽い若い演劇人たちも、既に個々のやり方で走り始めているようなので、2008年は特に、若い才能に期待したい、と思います。

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